コラム
ドローン夜間飛行の時間帯はいつ?規則や罰則、申請方法も解説
投稿日/2025.10.17
冬の街を彩るイルミネーションや夜景を、ドローンで幻想的に撮影したいと考える方も多いでしょう。
しかし、夜間のドローン飛行には特別な許可が必要で、ルールを知らずに飛ばすと法律違反となってしまいます。
そこで本記事では、夜の空撮を検討している方が安心して準備を進められるよう、夜間飛行の基準となる時間帯や申請の手続き、注意すべき安全対策までを詳しく紹介します。
この記事の目次
ドローンの夜間飛行に許可は必要?
夜間のドローン飛行は、航空法で原則禁止されています。航空法第132条の2第5号には「日出から日没までの間において飛行させること」と明記されており、夜間に無許可で飛ばすと航空法違反となります。
夜間は視界が悪く、ドローンの位置や姿勢、障害物を正確に確認しづらいため、墜落などのリスクが高まるのが理由です。
訓練の場合でも通常の屋外では行えないため、専用施設や地方航空局への申請を通して実施する必要があります。
ただし、国土交通省の承認を受ければ夜間飛行は可能です。申請には、夜間飛行の訓練を受けた操縦者であることや、飛行計画・安全対策の明示が求められます。
ドローンの夜間飛行|該当の場所・時間帯
夜間飛行の許可が必要になるかどうかは、「どこで」「いつ」飛ばすのかによって判断されます。
ドローンの夜間飛行に該当する場所や時間帯について、詳しく見ていきましょう。
場所
夜間飛行は、屋外であれば場所を問わず原則として禁止されています。
ただし、屋内とみなされる空間での飛行は規制の対象外です。たとえば体育館や倉庫、四方をネットで囲まれたゴルフ練習場などは「屋内」として扱われるため、承認がなくても飛行できます。
ドローン飛行における屋内の定義は、以下の記事でくわしく解説しています。
(関連記事:【動画あり】屋内でもドローン撮影できる!室内空撮の活用事例や注意点も解説)
時間
夜間に該当するのは「日没から翌日の日出まで」の時間帯です。航空法上、日出から日没までが飛行可能時間と定められているため、その間を外れる時間はすべて夜間飛行とみなされます。
日出・日没の時刻は地域や季節によって異なり、同じ日本国内でも差があります。特に冬場は日没が早く、撮影を進めているうちに夜間に入ってしまうケースも少なくありません。
少しでも夜間にかかる可能性がある場合は、あらかじめ夜間飛行の許可を取得しておく必要があります。
日出・日没の時間の調べ方
夜間飛行とみなされないようにするため、または夜間飛行の申請が必要になるかを判断するには、撮影当日の「日出・日没」の時刻を正確に把握しておくことが大切です。
航空法は、国立天文台が発表するデータを基準としています。そのため、日出・日没の時間は国立天文台ホームページ内の「国立天文台暦計算室」にて確認が可能です。
サイト内「今日のこよみ」や「こよみの計算(CGI版)」のページで、都道府県や市区町村を選択すれば、日ごとの日出・日没時刻を簡単に調べられます。
フライト時間が夕方にかかる場合は、想定より早く日没を迎える可能性もあるため、余裕をもったスケジュールを心がけましょう。
ドローンの夜間飛行の申請方法
夜間飛行を行うには、国土交通省への「許可・承認申請」が必要です。申請には、操縦者の飛行経験や訓練実績を示すマニュアル、飛行ルートや安全対策を記した申請書の2種類の書類を提出します。
申請方法は「オンライン」「郵送」「持参」の3通りがありますが、現在はドローン情報基盤システム(DIPS)を利用したオンライン申請が一般的です。
通常の飛行申請とは異なり、夜間飛行の申請先は「東京航空局長」または「大阪航空局長」となります。
申請から承認までには一定の期間を要するため、撮影スケジュールが決まったら早めに手続きを始めることが大切です。
ドローンの夜間飛行を申請する際のポイント
国土交通省へ夜間飛行の許可を申請する際、提出するマニュアルや申請書の内容は、国土交通省が定める「審査要領」に基づいて審査されます。
夜間飛行には、日中とは異なるリスクへの対応として、追加基準が設けられており、この基準を満たすことが必須条件です。
審査要領の追加基準をクリアするために、特に重要なポイントは大きく分けて以下の3点です。
【機体の装備に関する基準】
■ 灯火(ライト)の装備:機体の姿勢や向きを正確に判別できるよう、機体に灯火を搭載する必要があります。飛行範囲が照明で十分明るく照らされている場合は、この灯火の装備は不要とされています。
【操縦者に関する基準】
■ 十分な飛行能力:夜間であっても、意図した飛行経路を維持しながらドローンを飛行させられる、一定以上の能力が求められます。
■ 訓練の実施:必要な能力を有していない場合は、第三者が立ち入らない場所で夜間飛行の訓練を実施しなければなりません。
【安全確保体制に関する基準】
■ 補助者の配置:ドローンの特性を理解し、機体や周囲の状況を監視できる補助者を必ず配置しなければなりません 。
■ 事前の下調べ:日中のうちに飛行経路や障害物を下調べし、安全な飛行ルートを事前に決定しておくことが重要です 。
これらの基準は、夜間特有の視界不良やトラブルのリスクを最小限に抑えるために設けられています。
安全対策が整っていなければ許可が下りないため、事前にマニュアルを整備し、万全の態勢で申請に臨みましょう。
また、以前までは「■第三者の立ち入り制限:ドローンの飛行高度と同じ距離の半径の範囲内に、第三者が存在しない状況で飛行することが求められます。」といった記述もありましたが、現在は削除されています。
航空局の基準、解釈は変わり続けているだけでなく、マニュアルからは削除されても、基準はそのままといった場合も考えられます。
本記事中の基準、解釈は掲載時点で確認できたものです。ドローンを飛行させる際には、常に最新のものをご確認ください。
無許可でドローンを夜間飛行させた場合の罰則
国土交通省からの許可を得ずにドローンを夜間飛行させた場合、航空法第157条の6第4号により、50万円以下の罰金が科されます。
この条文は「日出から日没までの間において飛行させること」という規定に違反した場合に適用されるもので、夜間飛行を無許可で行うと法的な処罰の対象です。
また、訓練を受けていないのに実施したと偽るなど、虚偽の申告で許可を得ようとした場合も同様の罰則が科されます。
夜間飛行は魅力的な映像が撮れる反面、慎重な管理が求められる領域です。航空法を守り、ドローンの安全な夜間飛行を行いましょう。
夜間にドローンを目視外飛行させるのは法律違反?
夜間にドローンを目視外で飛行させることは、原則として法律で禁止されています。夜間は視界が悪く、機体の位置や姿勢、周囲の状況を正確に確認できないため、墜落や衝突のリスクが大幅に高まるためです。
夜間に目視外飛行を行う場合は、通常の包括申請ではなく、場所や経路を特定した個別申請と、安全対策をまとめた独自マニュアルの提出が必要です。
操縦者は夜間および目視外飛行の訓練を修了していること、補助者を配置して安全を確保していることなど、厳しい条件を満たさなければなりません。
専門知識と経験を持つ操縦士でなければ危険が伴うため、夜間の空撮を検討する際はプロへの依頼を視野に入れることをおすすめします。
まとめ
夜間のドローン飛行は、イルミネーションや夜景などを美しく映し出せる魅力的な撮影手法です。
しかし、夜間は視認性が低く危険が伴うため、航空法では原則として禁止されており、飛行には国土交通省の許可が必要です。申請にはマニュアルや安全対策の提出が求められ、条件を満たさなければなりません。
機体の特性を理解した操縦技術と法令知識を持ったプロへの依頼がおすすめです。
ドローン東京では、夜間飛行の許可取得から撮影・編集までをワンストップで提供しています。冬の夜を彩るイルミネーションや幻想的な夜景を安心して撮影したい方は、ぜひ一度ご相談ください。