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冬のドローン飛行|注意すべきトラブルと安全に飛行させるポイント

冬の空は澄み渡り、雪原や朝霧など、冬の季節ならではの幻想的な風景が広がります。そんな美しい光景をドローンで空撮したいという方も多いのではないでしょうか。

しかし、冬の撮影には低温による思わぬリスクが潜んでいます。特に注意すべきなのが、低温によるバッテリーの電圧降下(電圧低下)で、突然電源が落ちることによる墜落です。

この記事では、冬の時期特有のドローントラブルと、その対策方法をわかりやすく紹介します。

 

冬は特に注意したいのがドローンの墜落トラブル!

冬場に多発するトラブルの一つが、低温によるバッテリー性能の低下です。気温が下がると、電圧が急激に下がり、バッテリーの消耗が激しくなることがあります。

その結果、飛行中に電源が落ちて墜落するケースが少なくありません。

2025年5月に発売されたDJI Mavic 4 Proのマニュアル(※1)では、具体的な数字として、以下の温度が記載されています。

 

── 引用:低温環境(-10°~5°C)で飛行すると、バッテリー容量が著しく減少します。

 

また実際に、ドローンコミュニティなどでは「バッテリー残量はまだあるのに突然電源が落ちた」という報告も多く見られます。

これらは、寒さによる電圧降下が一因と考えられており、メーカーも低温環境での飛行時にはバッテリーを十分に温めてから使用するよう注意を促しています。

冬季の飛行では、バッテリー温度を確認してからの操縦が大切です。

(※1)参考:DJI「DJI Mavic 4 Pro|ユーザーマニュアル p.54」

 

なぜ墜落?ドローンに使われるリポバッテリーの特性

ドローンに使用されているリチウムポリマーバッテリー(リポバッテリー)は、軽量で高出力という特性から、スマートフォンやドローンをはじめとして、多くの機体に採用されています。

一方で、寒さに弱いという性質があり、気温が低下すると内部抵抗が高まり、電力の出力が不安定になりやすくなります。

バッテリー内部で十分な電流を流せず、結果として電圧が急激に下がり、急激なバッテリー残量の消耗の原因になるのです。

 

寒い冬でも安全にドローンを飛行させるポイント

冬のドローン飛行では、低温によるバッテリー性能の低下や突風など、さまざまなリスクが重なります。

しかし、いくつかの基本的な対策を意識するだけで、冬でも安全かつ安定した空撮を行うことが可能です。

主なポイントは以下の通りです。

 

■ バッテリーは適温で使用する
■バッテリーは負荷で内部から発熱させる
■ そもそもバッテリーが冷えない保管方法にする
■ バッテリーの充電は満タンかつ多めに持ち歩く
■ ドローンの飛行時間は短めにする
■ 天候によっては飛行させない
■ 操縦者は徹底した防寒を心がける

 

ここからは、それぞれのポイントを具体的に見ていきましょう。

 

バッテリーは適温で使用する

バッテリーのメーカー推奨値として、DJI Mavic 4 Pro(※1)のマニュアルでは「10℃以上(理想は20℃以上)」での使用が示されています。

また、極低温環境である-10℃より低い温度では、使用できません。

離陸する前に、バッテリーの温度は最低10℃、できれば20℃以上にしてから飛行させましょう。

(※1)参考:DJI「DJI Mavic 4 Pro|ユーザーマニュアル p.54」

 

バッテリーは負荷で内部から発熱させる

バッテリーを適温にするのは、負荷で内部から発熱させる方法がおすすめです。適温にするため、バッテリーを外部から急に温めた場合、温度を確認した際には適温になっていても、飛行しているうちに上空で冷えてしまうことがあるためです。

ただし、スタート温度が低すぎると「ドローンを起動させて負荷をかける→発熱する」のサイクルに入りにくいのも確かです。

そのことから、事項で解説する「バッテリーが冷えない保管方法」を補助として導入し、スタート時が温かい、そして飛行しながら温度が下がらないという状態を作るようにしましょう。

また、DJIドローンであれば、ほとんどテレメトリで現在の温度が確認できます。冬場は開始時の温度だけでなく、飛行中の「温度の変化」が重要になることを念頭において飛行させましょう。

 

そもそもバッテリーが冷えない保管方法にする

移動や待機中も、バッテリーを冷やさない工夫が大切です。剥き出しのままバッグに入れてしまうと、外気の影響で急激に冷えてしまうことがあります。

保温効果のあるケースや布製のポーチに入れ、タオルで包んでおくなど、温度の低下を防ぐ工夫が大切です。

また、使い捨てカイロを近くに入れておくのも有効です。ただし、直接触れさせると急激な加温になり、バッテリー劣化の原因になります。

カイロはタオルで温めるなどして、人肌程度の温かさを保つよう意識しつつ、急に温め過ぎないような保管方法にしましょう。

 

バッテリーの充電は満タンかつ多めに持ち歩く

寒い季節は、バッテリーの性能は低下傾向となるにもかかわらず、消耗は早く進みます。飛行の前日にはすべてのバッテリーを満充電にしておき、当日は予備を多めに持参しましょう。

特に屋外での撮影は、構図の確認や風の待ち時間などでバッテリーを消費しがちです。予定より長い飛行時間になる可能性も考え、通常より1〜2本多く準備しておくと安心です。

 

ドローンの飛行時間は短めにする

低温環境では、どれだけ対策をしてもバッテリーの負荷が大きくなります。電圧や容量が早く低下するため、通常より短い飛行時間を意識することが安全につながります。

目安として、いつもより20〜30%短い飛行時間で計画を立て、残量が3割程度になったら早めに着陸するようにしましょう。

 

天候によっては飛行させない

冬の天候は変化が激しく、突風や雪が発生しやすい季節です。特に地上では穏やかでも、上空では風速が倍以上になることもあります。強い風の中ではドローンに大きな負荷がかかり、バッテリー消耗や制御不良のリスクが高まります。

撮影当日は、風速や気温、降雪の有無を事前に確認しましょう。少しでも不安定な天候が予想される場合は、無理に飛行せず日を改める判断が一番の安全対策です。

 

操縦者は徹底した防寒を心がける

操縦者自身の体調管理も、安全な飛行の一部です。寒さによって指先の感覚が鈍ると、スティック操作の精度が落ちるほか、集中力の低下も起こります。

防寒性の高いアウターや帽子の着用はもちろん、送信機ウォーマー(プロポカバー)を使うと操作中の手を温かく保てます。タッチパネル対応の手袋を併用すれば、操作性も維持しやすくなります。

撮影の合間には休憩を取り、手や体を温めてから再び操縦に臨むようにしましょう。

 

冬のドローン飛行では準備と温度管理を徹底しましょう

冬の空撮では、ドローンのバッテリーなどの「準備」と「温度管理」が、安全に撮影を行うための大きなポイントです。

飛行前にバッテリーの温度を確認し、十分に充電・保温した状態で臨むこと、天候や風の状況を事前に調べ、無理をしない判断で、安全な飛行を実現させましょう。操縦者自身が防寒を徹底し、集中力を保つことも忘れてはいけません。

冬の撮影は、事前のひと手間が映像のクオリティと安全性を左右します。しっかりとした準備を整え、冬の透明な空と光、雪景色などを、最高の映像として残しましょう。

 

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