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ドローンで海を撮影する前に知っておきたい法律と飛行のポイント

ドローンを活用した空撮は、観光や映像制作、マーケティングの分野で広く活用されるようになりました。中でも、海を被写体にした撮影は、地上からでは表現しきれない海の広がりや水面のきらめき、船の動きや海岸線の地形など、スケール感のある映像を撮影できることから非常に人気があります。

こうした映像表現は、観光PRや施設紹介、マリンスポーツの記録映像など、さまざまなシーンで活用が期待されています。

一方で「海」という環境はドローンにとって決してやさしいフィールドではありません。安全性や法的な制限をふまえた、計画的な飛行が求められます。

本記事では、海上でのドローン空撮について、許可や届出が必要となる法的なルール、安全面での注意点、そして具体的な活用シーンまでわかりやすく解説します。

 

海の上でドローンは飛ばせる?

海上でもドローンの飛行自体は可能です。海上保安庁からも「海上でのドローンの使用については、基本的に港則法及び海上交通安全法に基づく許可又は届出は不要です。」といった内容が発表されています。(※1)

ただし、どこでも自由に飛ばせるというわけではありません。

日本国内では、ドローンの飛行には「航空法」や「港則法」が関係しており、場合によっては飛行許可の申請が必要です。

(※1)神戸海上保安部|海上でのドローン使用について

 

海上でのドローン飛行に「許可」や「届出」が必要な場合

海上では、ドローンを飛ばす場所や目的によって、法律に基づいた「許可」や「届出」が必要になることがあります。

とくに、周囲の船舶の航行や港湾の運用に影響を与えるような飛行を計画している場合は、関係法令をふまえた事前の確認が不可欠です。

どのようなケースで申請が必要になるのか、主な法令ごとに見ていきましょう。

 

航空法に関係する場合

まず航空法でいえば、飛行場所が空港周辺や人口集中地区、150m以上の上空、緊急用務空域などに該当していれば、国土交通省への飛行申請が必要となります。

ドローンの機体が100g以上の場合は「無人航空機」扱いとなり、航空法の規制対象です。

航空法のルールに違反すると「1年以下の懲役または50万円以下の罰金」に課せられる可能性があります。

 

港則法および海上交通安全法に関係する場合

海上に作業船を配置したり、工作物(仮設足場や設備など)を設置したりすることで、周囲の船舶の通行に影響を及ぼすおそれがある場合には、港則法または海上交通安全法に基づく「許可」や「届出」が必要となる場合があります。(参考:※2)

一方、海上保安部の通達では、以下のような場合には許可や届出は必要ないと明記されています。(引用:※2)

 

(1)陸上からドローンを飛行させる場合(ドローンの飛行のみ)

・港湾施設、海域、船舶、海上に存在する物件等の状況を撮影するもの
・海上において、橋梁、荷役施設等の点検、測量等を行うもの
・荷物の配送のため、単に海上を通過するもの

(2)船舶を使用する場合(船舶で離発着する)

・ドローンの操縦や離発着などのため、ドローンを操縦する者が乗船する船舶が他船を避けることができ、船舶交通に影響を及ぼすおそれがないもの。
・船舶を撮影する場合であって、撮影対象の船舶が他船を避けることができ、船舶交通に影響を及ぼすおそれがないもの。

 

ただし、経験上、東京湾では届不要であっても、海上保安部への「お知らせ」として受領されます。

港則法の対象エリアであるかは、海洋状況表示システム「海しる」(※3)で確認が可能です。

 

(※2)神戸海上保安部|海上でのドローン使用について

(※3)海洋状況表示システム|海しる

 

海上の管理者がいる場合

管理者がいる海上の場合には、ドローン飛行時に管理者の承諾が必要になります。管理者のいる海は大きくわけて「航路」「海岸」「港」の3つです。

「海岸」に関しては、さらに「海岸保全区域」「海水浴場」「それ以外」に細かくわけられます。

それぞれの概要と誰が管理者なのかは、次のとおりです。

 

【航路】船の行き来がある海|管轄の海上保安庁
【海岸(海岸保全区域)】陸地と周辺の海|都道府県の海岸保全区域の管理者
【海岸(海水浴場)】陸地と周辺の海|海水浴場の管理者
【海岸(それ以外)】陸地と周辺の海|都道府県の市区町村役場
【港】船の発着・停泊のための陸地と周辺の海|管理組合など

 

航路・海岸・港以外の海上には、基本的に管理者はいません。飛行許可も必要はありませんが、念の為に管轄の海上保安庁へ連絡できると、より安心して飛行ができます。

 

海上撮影ならではの注意点

海は天候や環境の変化が大きく、ドローンの飛行に与える影響も少なくありません。

■ 海上の環境
■ 通信状況
■ 人員体制

これらの注意点について、解説します。

 

海上の環境

風の強さと安定性に注意が必要です。海上では風が突発的に強まることがあり、機体が煽られて姿勢を崩すリスクが高くなります。

小型のドローンほど影響を受けやすいため、事前に風速や天候をしっかり確認しておくことが重要です。

 

通信状況

海上ではGPS信号の受信が不安定になる場合があります。とくに離岸して視界に障害物がない環境では、機体の位置を見失いやすくなるため、目視での操作に慣れていないと事故につながる可能性があります。

 

人員体制

万が一ドローンが海に落下した場合、陸地でのようにすぐ回収しづらいことも、想定しておく必要があります。

専用のフロートや水没対策、回収のための支援人員が必要になる場合もあります。

 

こんな映像が撮れる!海のドローン活用シーン

海を舞台にしたドローン撮影は、さまざまな分野での活用が進んでいます。

たとえば、観光地のプロモーション映像では、海岸線や夕日の映像を上空から捉えることで、地域の魅力を一層印象的に伝えることができます。

また、サーフィンやSUPなどのマリンスポーツをダイナミックに記録したり、漁船の出港シーンを空から追いかけたりといった撮影も人気があります。

▼ドローン東京が撮影した海の映像

さらに、ドローンの写真測量機能を活用すれば、海岸浸食のモニタリングや、堤防・護岸施設の点検にも活用が可能です。

単なる「映像美」にとどまらず、調査・記録・広報の手段としての価値も高まっています。

 

自分で撮る?プロに頼む?判断のポイント

ドローンの基本的な操作や法律の理解がある方であれば、海の撮影にチャレンジすることは可能です。とくに、人口の少ない海岸や、申請が不要なエリアでの撮影であれば、個人でも比較的スムーズに行えます。

一方、港湾区域、イベント中の撮影、船上からの飛行、商用の映像制作といったケースでは、法的な手続きや安全対策の負担が大きくなるため、経験のある事業者に依頼するほうが現実的です。

実際、申請などで提出する書類の数はとても多く、大きな負担になりかねません。

必ずしもすべてを任せる必要はなく、申請や飛行計画の部分だけサポートを受ける形も可能です。撮影の目的と予算に応じて、自分で対応する範囲とプロに委ねる部分を分けて考えるとよいでしょう。

 

安心・安全な「海の空撮」のために

海の上でのドローン撮影は、映像表現としての可能性に満ちていますが、同時にリスク管理が不可欠な分野でもあります。

法令を遵守した計画的な飛行、正確な環境把握、そして不測の事態への備え、これらをしっかり行えば、海の空撮は誰にとっても魅力的な選択肢となるでしょう。

これからドローンで海の撮影に挑戦したいと考えている方は、まずは小規模な撮影から始め、徐々に経験を積んでいくのがおすすめです。そして必要に応じて、プロフェッショナルの力を借りながら、より安全で高品質な空撮を実現してください。

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