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2025年4月1日に発表された「標高の移動」とドローン業務の関係

※私は測量士補の資格を持ってはおりますが、実際に測量業務に従事しているわけではありません。そのため、記述に事実誤認が含まれている可能性もあります。あらかじめご了承ください。

 

国交省が全国の標高成果の改定を2025年4月1日に発表

さて、RTK関連の情報業者様から届いたメールに驚かされたのですが、なんと2025年4月1日から「標高が移動する」とのことなのです。(※詳細:国土交通省国土地理院「令和7年度 全国の標高成果の改定」

ドローン業務の中でも「測量業務」に、標高は欠かせない情報です。

標高が移動するとはどのようなことか、ドローンの測量業務のどういった部分に影響が出るのかをご説明していきます。

 

「標高」とは?

東京湾平均海面を基準 (0m)としたときの高さを、標高と言います。もう少し、専門的な内容をお話しいたしますね。

地球は球体に近い形状ですが、正確には赤道方向にわずかに膨らんだ「回転楕円体」としてモデル化されます。この楕円体の一部、たとえば富士山周辺を切り取った断面図が図1です。

楕円体、ジオイド、標高の関係図

図1:楕円体、ジオイド、標高の関係

 

上の図1をご覧ください。

 

●水色の下層部が「楕円体」です。これはGNSS(GPSなど)で基準となる仮想の地球の形です。

●青色上面が「ジオイド高」です。これは平均海面を延長した仮想の面であり、日本では「東京湾平均海面」が使われます。

●山の形をした地形が、実際の地表です。(図の地表の例えには、富士山を用いました。)

※図中で示されている矢印の長さが、それぞれの高さを表しています。

 

●ジオイドから地表までの高さが「標高」です。

●楕円体から地表までの高さは「楕円体高」と呼ばれます。

 

まとめると、「楕円体高」から「ジオイド高(ジオイドの上下変動)」を差し引いたものが「標高」になります。

 

「ジオイド」とは?

ジオイドはあくまで「平均的な海面」の仮想面ですが、実際には重力の影響を受けて変形しています。

例えば、富士山の地下では万有引力の法則によりジオイドが数センチ〜数十センチ単位で盛り上がることもあります。また、地殻の密度や構造により重力分布が異なるため、ジオイドの高さは場所によって異なるのです。

このため、同じ「楕円体高」であっても、ジオイド高の差により標高は地域によって異なるということになります。

 

富士山が高くなる

2024年、新たなジオイドモデル「ジオイド2024(日本およびその周辺)」が策定されました。これに加え、地殻変動なども含めて、衛星測位による補正が施された結果、標高が変わることになったのです。(詳細:国土交通省国土地理院「衛星測位を基盤とする三角点「富士山」の新しい標高~基準点の標高成果の改定に向けた取組~」

 

標高が移動する=ドローンの業務内容によっては影響がある

止まっているドローンの写真

私たちは、DJI Mavic 3 Enterpriseを使って点群を生成し.lasを出力したり、ジオタグ付きのオルソ画像を作成したり、ときにはマンションの眺望撮影も行っています。

ジオイドが変わる=標高が変わることになります。ドローンの「測量業務」などは、標高の変更は無関係では済まされません。

もう少し詳しくお話しします。

 

眺望撮影の場合の標高って?

たとえば「マンションの3階、10mの高さから写真を撮ってほしい」と依頼されたとします。

この「10m」は何を基準にしているのでしょうか?多くの場合、それは「設計GL(グランドライン)」からの高さです。

ところが、現場に行っても設計GLがどこにあるか分かることは稀です。(私の経験でも、これまで1現場だけ明示されていました。)

この設計GLは、しばしば標高で定義されているのです。

一方、私たちの使用している「DJI Pilot 2(Mavic 3 Enterprise)」では、表示されるのは「楕円体高」もしくは「離陸地点からの相対高度」のみです。

つまり、ジオイド高を差し引くことで「標高」を求めているわけですね。

 

ドローンでの測量業務は標高が不可欠

ジオイド高を差し引くことで標高が求められるため「標高が移動する」と、高さの基準となる設計GL(グランドライン)が変わることになります。

記事内でご紹介のとおり、ドローンでの「測量業務」などに、標高は欠かせません。業務に影響があるため、2025年4月から5月にかけて順次移行するとの発表は、ドローン操縦士として驚きました。

ムービーやスチルの撮影などには直接的な影響はありませんが「こんなこともあるんだな」と、ちょっとした話題としてご紹介させていただきました。

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